投資副業で高収益を信じた26歳の男性💸“海外ファンドで月利10%”の甘い言葉と詐欺被害の全記録

詐欺被害の体験談

今回は「月利10%」「海外ファンド」「少額から始められる」という甘い文句に惹かれ、投資副業を始めた結果、50万円を失ってしまった松井大輝さん(仮名・当時26歳)の体験を紹介します。

会社の給料だけじゃ先が見えない。

副業で資産を作りたい。

そんな気持ちを見透かされたように届いたLINEの勧誘。

しかも紹介者は知人でした。信じてもいいかなと思った瞬間に、お金を振り込んでしまっていた──。

後悔と反省が入り混じる心の動きと、そこからの回復プロセスを丁寧に伺いました。

「少額からでも大丈夫」と言われて始めたのが地獄の入口だった

──最初にその副業に出会った経緯を教えてください。

松井さん:「昔のバイト先の先輩から久しぶりにLINEが来たんです。”最近どう?”って雑談っぽく始まって、”投資とか興味ない?”って流れで。最初は”いやー無理っすよ笑”って返したんですけど、”今やってるやつ、月利10%出ててさ。元手少なくてもいけるし、リスクも低い”って言われて。”怪しいな”って思いつつ、ちょっとだけ気になって。その日の夜、ネットで”海外ファンド 副業 評判”とかで調べたりしてましたね。」

──調べてみて、不安はなかったですか?

松井さん:「一応Googleで会社名とか調べたら、それっぽいホームページはあったんですよ。英語のサイトで、過去の実績とか載ってて。LINEグループのスクショももらって、”今こんな感じでみんな配当受け取ってるよ”って見せられたら、”もしかしてイケるかも”って思ってしまいました。それで、”とりあえず5万だけやってみます”って言ったら、”少額だと利益出ても実感ないし、50万くらいが理想かな”って言われて。流れで、結局50万振り込んでしまいました。」

──5万円のつもりが50万円になった瞬間、どう感じましたか?

松井さん:「振り込んだ直後は”やっちゃったかな”って思いましたよ。でも先輩が”大丈夫だよ、俺も同じ額やってるから”って言ってたし、”後悔するより動いた自分を信じよう”って気持ちにしてたんです。今振り返ると、その先輩も詐欺の勧誘役だったのか、自分自身も被害者だったのかよくわからないんですが、いずれにせよ”知り合い”という安心感が、一番の判断ミスの原因でした。」

「月利10%」という数字の非現実性について解説しておくと、年率換算で約214%に相当します。プロの投資家でも年率10〜20%を安定して出し続けることは難しく、それが「毎月10%」という条件で誰にでも提供されるとすれば、仕組みとして成り立ちません。こうした数字が提示されても「すごい」と感じてしまうのは、投資の相場感がなければ比較基準を持てないからです。「高収益」と「低リスク」が同時に謳われる副業は、現実の金融商品では原則として両立しない矛盾を抱えており、その矛盾を見抜くことが詐欺回避の最初の視点になります。

LINEグループに流れてた”毎日配当報告”が安心材料になっていた

──振り込んだ後、どんなやりとりがありましたか?

松井さん:「すぐに”ようこそ!”ってグループに招待されて、毎日”本日◯◯円の配当確認しました!”みたいなメッセージが流れてたんです。”今月もプラスでした!””累計◯万円突破!”みたいな投稿があって、”うわ、ガチで儲かってる人いるんだ”って完全に信じてました。グループの雰囲気もすごくポジティブで、怪しいどころか”やってる自分ってちょっと先進的じゃない?”くらいに感じてたんです。」

──そのグループに参加している人たちとやりとりはありましたか?

松井さん:「”すごいですね!”って返信したら”ありがとうございます、松井さんもすぐ結果出ますよ!”って返ってきて。でも今振り返ると、あの熱気全体が演出だったんじゃないかって思います。同じアイコンのアカウントが複数あったし、投稿の文体が妙に似てたし。”毎日配当が確認できる人”がグループに何十人もいる状況自体、よく考えたらおかしいんですよね。」

──実際に自分の配当はどうでしたか?

松井さん:「最初の2週間は何もなかったです。”システム処理に時間がかかってる”って言われて、”まあ海外だしな”って納得してました。”初回配当は来月頭です”って言われて、それまで待つしかなかったんですけど、その日が来ても入金されなくて。そこからおかしくなり始めましたね。」

LINEグループ内で毎日流れる「配当報告」は、前回の記事で紹介した口コミ副業詐欺と同様に、社会的証明を悪用した演出です。「周囲が稼いでいる」という環境を作ることで、参加者が疑問を持ちにくい雰囲気を意図的に形成します。加えて「先進的な自分」という自己イメージを強化することも、疑念を遠ざける効果を持ちます。参加者の中に「まだ稼げていない自分」という焦りが生まれると、「システムの遅延」という言い訳を疑わずに受け入れてしまう心理状態になります。詐欺業者はこの「待たせる」フェーズを使い、被害者が動き出すまでの時間を稼いでいます。

「メンテナンス中」「一時的に送金停止中」…出金できないまま連絡も消えた

──配当が来なかった後の流れを教えてください。

松井さん:「配当が遅れている理由として、”システムメンテナンス中です”ってLINEで来たんです。そしてグループの投稿もパタッと止まりました。”あれ?”と思って、紹介者の先輩にLINEしたら、”運営と連絡取れてるから大丈夫”って。けど数日後、先輩もLINEブロックしてきて。その時、やっと”あ、やられたわ”ってなりました。そこからはもう、ショックで何も手につかなかったですね。」

──ブロックされた瞬間のことを覚えていますか?

松井さん:「送ったLINEのメッセージが急にグレーになって、”ブロックされてる”ってわかった瞬間の感覚は、今でも覚えてます。あの時のことを一言で言うと、”冷水を浴びせられた感じ”でした。50万円という金額の重さが一気に体にのしかかってきたというか。”自分は何をやってたんだろう”という気持ちと、”取り戻せるのか”という焦りが同時に来ました。」

──その後3日間は放心状態だったとのことでしたね。

松井さん:「ご飯も喉を通らない日があって、仕事中も頭の中がそのことでいっぱいで。”50万円ってどれだけ働いて稼いだ金額か”って何度も頭の中で計算してしまって。でも不思議なことに、3日目の夜に突然”いつまでもこうしてても仕方ない”って気持ちになって。親に話そうと思ったのが、そのタイミングでした。」

「出金できない状態を維持しながら言い訳を続ける」という手口は、投資詐欺において被害者の行動を遅らせるための常套手段です。「メンテナンス中」「送金停止中」「手続き中」という言葉は、被害者に”もう少し待てば解決する”という期待を持たせながら、その間に業者が資金を移動・隠蔽する時間を稼ぎます。紹介者も同時に音信不通になったことは、その人物が詐欺の構造に組み込まれていた可能性を示しています。紹介者が意図的な共犯だったのか、自身も被害者として利用されたのかは判断が難しいところですが、いずれにせよ「知人の紹介」というだけで警戒を解くことがいかに危険かを示しています。

“投資じゃない、法律的には違法勧誘に近い”と弁護士に言われた日

──親に話してからどう動きましたか?

松井さん:「親に”それ詐欺じゃないの?”って言われて、一応法律事務所の無料相談に申し込んだんです。そしたら、”契約書がない状態で送金しているなら、投資じゃなくて詐欺の可能性が高いですよ”って言われて。あと、”日本で勧誘しているなら、金融商品取引法違反になる恐れもある”って。それを聞いて、”自分のミスじゃなくて、違法行為だったのかも”って少し救われた気がしました。」

──「金融商品取引法違反」という言葉を聞いた時の気持ちを教えてください。

松井さん:「それまで”自分が信じた自分が悪い”という気持ちしかなかったんですが、”法律に違反している側がいる”とわかった瞬間に、初めて怒りがちゃんと出てきたんです。怒りって悪いものじゃなくて、”動く力”になるんだなって。弁護士さんに相談する前は虚脱感しかなかったのが、その後は”取り戻せるかもしれない”という気持ちに変わっていきました。」

──どんな証拠を提出しましたか?

松井さん:「LINEのやりとりのスクリーンショット、振込明細、先輩から送られてきたグループのスクリーンショット、業者のホームページのURL、届いた説明資料のPDFです。弁護士さんに”配当が確実に出ると言われた記録”が特に重要と言われて、先輩からのLINEに”月利10%保証”という文字があったことが、後の交渉で根拠になりました。」

日本国内で投資商品の勧誘を行うためには、金融庁への登録が必要です。無登録で「月利10%保証」のような投資話を勧誘する行為は、金融商品取引法違反に該当する可能性があります。また「高利回りを保証する」という説明は、同法が禁じる断定的判断の提供にも当たりうるものです。こうした違法性の根拠が明確になると、被害者側は警察や金融庁への相談という選択肢も持てるようになります。弁護士への相談は返金交渉のためだけでなく、「自分の被害がどの法律に基づいて問題になりうるか」を整理する場としても重要な意味を持ちます。

内容証明を送って分かった「業者側は見てる」現実

──返金交渉はどう進みましたか?

松井さん:「弁護士さんが業者の代表アドレスに内容証明を送ってくれて、最初は無視されてたんですけど、1週間後にメールが返ってきたんですよ。”ご迷惑をおかけして申し訳ありません”ってテンプレっぽい文面で、”一部返金を検討しております”って。正直、”まさか反応があるとは”って驚きました。で、”5万円ずつ5回で返金”という約束を取り付けたんですが、実際に振り込まれたのは2回だけ。残りは”事務局が閉鎖したため処理できません”って。は?って感じでしたね。」

──返金が途中で止まった時の気持ちはどうでしたか?

松井さん:「悔しかったです。でも弁護士さんに”示談書の内容と実際の振込履歴が2回分残っている。裁判に持ち込む選択肢はあるが、業者がすでに実質的に消滅しているため、勝訴しても強制執行が難しい可能性がある”と説明されて。つまり、法的に正しくても、相手がいなければ取り戻せないという現実があるんですよね。10万円だけが戻った形で終わりました。」

──「事務局が閉鎖した」という言い方についてどう思いますか?

松井さん:「完全に逃げ切り戦略だと思います。分割払いを約束しておきながら、数回払った後に消えることで、一部返金という実績だけ残して全体の追及を逃げる。冷静に考えるとすごく計算された動きで、最初から”一部だけ払えば相手が折れる可能性がある”という判断がされていたんだなって。それがわかった時、怒りより先に”相手はプロだったんだな”という感覚がありました。」

「分割払いの約束をして途中で消える」という手口は、一括返金を拒否しつつ被害者を引き延ばすための高度な戦術です。2回分の支払いで被害者に「動いた甲斐があった」という感覚を与えながら、残額を踏み倒して業者を畳むという構造になっています。こうした事態を防ぐためには、示談交渉の段階で「全額一括払い」か「短期間での完済」を優先交渉条件とし、分割払いに応じる場合でも公正証書を作成して強制執行認諾条項を盛り込むことが有効です。弁護士に依頼する段階でこの点を事前に相談しておくことが、後悔を生まないための準備になります。

最後に残ったのは「自分の判断に対する後悔と、学び」

──あらためて当時を振り返って、どう思いますか?

松井さん:「正直、自分のことをバカだなって思ってます。”紹介者が知り合いなら安心”って気持ちが一番ダメだった。あと、”高収益”と”リスク低い”って言葉が一緒に出てくる副業はやめておいた方がいいです。あり得ないんですよね、冷静になればわかるのに。でもその時は、自分も何か変えたくて焦ってたんです。”チャンス逃したくない”って、頭の中がそれでいっぱいでした。」

──「焦り」がどんな形で判断を歪めたと感じますか?

松井さん:「”給料が上がらない””このままではダメだ”という現状への不満があって、そこに”今すぐ動けば変えられる”という話が来ると、確認する前に動いてしまうんですよね。焦りは”慎重になる力”を消してしまう。詐欺師はその状態を意図的に作り出していて、”今すぐ枠を押さえないと”という言葉は、焦りに焦りを重ねるための仕掛けなんだと、今ならわかります。」

──今後、同じような状況になった人に伝えたいことはありますか?

松井さん:「”投資の話が来たら、48時間は何もしないで調べる”というルールを自分で作りました。その場で決断させようとする話は、全部怪しいと思った方がいい。あと、”知り合いが勧めてきた”は安心材料じゃないということ。知り合い自身も被害者として利用されているケースがあるし、信頼関係を使った勧誘が最も防ぎにくい詐欺の形だということを知っておいてほしいです。」

松井さんが語った「48時間ルール」は、副業詐欺の予防策として非常に有効な考え方です。詐欺的な勧誘の多くは「今すぐ決断しないと損になる」という即決プレッシャーを使います。時間を置いて第三者に話す、インターネットで業者名と「詐欺」「被害」で検索するという2つの行動だけで、多くのケースは防ぐことができます。また「知人からの紹介」という信頼の演出は、業者がリクルーター(紹介役)に報酬を与えて利用する構造になっていることが多く、紹介者自身が詐欺の仕組みに組み込まれているかどうかを見極める術がないため、紹介者への信頼と副業の信頼は切り離して考える必要があります。

まとめ|「相談して良かった」…一人じゃ戻れなかった気持ちの着地点

副業詐欺は、お金を失う以上に「信じた自分が悪い」という後悔の方が大きく残るものです。

でも松井さんのように声をあげて動いたことで、その後の人生に立ち直りのきっかけが生まれたのは確かです。

10万円しか戻らなかったという結果は、決して満足のいくものではありません。

それでも「動いた」という事実が、後悔だけで終わる人生と、学びに変えられる人生を分けた境目になっています。

松井さんはこう語ってくれました。

「お金は戻らなかったけど、自分を取り戻す作業にはなりました。相談してなかったら、ずっと引きずってたと思います。」

被害に遭ったと気づいた時点でやるべきことは3点です。

①LINEのやりとり・振込明細・業者の資料を即座に保全する②早めに弁護士の無料相談を活用する③分割払いに応じる場合は公正証書を作成し強制執行認諾条項を入れる

特に3点目は、松井さんが経験した「途中で業者が消える」という事態を防ぐうえで最も重要な準備です。

SNSやLINEで気軽に始められる副業こそ、”本当にその仕組みは信用できるのか”と問い直す意識が大切です。

迷ったら、一人で抱え込まずに誰かに話してみてください。

タイトルとURLをコピーしました